生まれたばかりの赤ちゃんの目は、形はほぼ完成されていますが、視力は未熟で目の前がぼんやり見える程度です。
視力は、3ヵ月で0.02~0.03、6ヵ月で0.04~0.08、8ヵ月で0.1程度、1歳で0.2前後に発達します。その後どんどん発達し、3歳半を過ぎると0.7~1.0、4歳で71%、5歳で83%が1.0に達するといわれています。 もちろん、個人差はかなりあります。
われわれは普通1.0の視力を健康視力としていますが、生まれたときから1.0というわけではありません。毎日ものを見ることによって、からだの発育とともに視力もだんだんと発達します。
近視・遠視・乱視などの屈折異常は、網膜に鮮明な像が投影されず、視力の低下を起こします。他に眼疾患がなければ眼鏡・コンタクトレンズで矯正することにより、良好な視力を得ることができます。本人・ご家族とよく相談し、生活スタイルを考慮した上で屈折矯正の必要性を判断していきます。状態により、調節麻痺薬を用いて検査を行うこともあります。
仮性近視とは、ピントを合わせる筋肉が過度に緊張してしまい、弛緩することが難しくなり遠くへのピント合わせが難しくなる状態をいいます。
弱視とは、屈折異常や斜視・先天性疾患により、屈折異常を矯正しても視力が0.9に満たない状態をいいます。視力に関する機能は6~8歳までで発達が止まってしまうため、早期発見・早期治療が大切です。
弱視の治療には、まず調節麻痺薬による屈折検査ののち、眼鏡等による屈折矯正、弱視眼を使わせるための片眼遮閉法(アイパッチ)、種々の弱視訓練を行います。
弱視の種類
斜視 弱視 (しゃしじゃくし) |
片方の目の視線がずれている(斜視)ために、視力が発達しないのです。 |
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不同視弱視 (ふどうしじゃくし) |
片方の目が強い遠視や乱視のため、弱視になることです。日常生活で不便さを感じにくいため、気がつかないことがよくあります。 3歳児健診で見つからず、就学時健診で初めてわかることもあり、早期治療ができずに視力の発達が止まってしまうケースもあります。 |
屈折異常弱視 (くっせついじょうじゃくし) |
両目が強い遠視や乱視であるためにおこる弱視です。 |
視性刺激遮断弱視 (しせいしげきしゃだんじゃくし) |
何かで光が遮られ、視力の発達が止まってしまう弱視です。原因として、まぶたがいつも下がっていて黒目(瞳孔)を覆っている眼瞼下 垂(がんけんかすい)、生まれたときから水晶体が濁っている先天性白内障などがあり、早く発見し手術することが大切です。 |
早期に適切な治療をすれば、治る可能性は高くなります。
弱視の治療には主にメガネを用い、ピントが合った状態にすることで、視力の発達を助けます。
しかし、乳幼児にメガネをかけさせることに抵抗があるのも事実です。
「まだ小さいから」「メガネをかけさせるのはかわいそうだから」と思われるかもしれません。しかし、見えないのにメガネをかけさせない方がもっとかわいそうです。
斜視とは、眼の位置ずれにより両眼の視線が合わない状態をいいます。
斜視には様々な種類がありますが、弱視を引き起こしたり、脳や神経に原因があることもあるので、視線のずれが見られたら早期に眼科受診をしましょう。
片目つぶりや顔の向き、眩しがる等の症状がある場合もありますので、お子様を注意深く観察することが大切です。
器質的疾患がないにも関わらず視力が出ない場合、心因性視覚障害である可能性があります。これは、精神的なストレスなどの原因により起こる症状で、視力や視野・色覚等に影響します。
お子様の心は非常にデリケートですので、ご家庭での様子や学校生活等の場面で、多くのストレスを感じさせない気配りが大切です。
また、眼鏡願望(眼鏡に対する憧れ)により視力が出づらくなることもあります。この場合は素通し(度のない)眼鏡を処方することもあります。
小児近視の治療について
近視の発症や進行には、個々のライフスタイルが大きく影響しており、それぞれに合った生活指導や治療法が必要になります。
1.低濃度アトロピン治療(マイオピン点眼薬)
小児期の近視の進行を軽減させることを目的にした低濃度(0.01%、0.025%)のアトロピン点眼です。近年、海外や本邦の研究より低濃度アトロピン点眼の近視進行抑制に対する良好な結果が報告され、副作用もほぼないことが確認されております。
2.オルソケラトロジー
特殊な形状が施された高酸素透過性の専用ハードコンタクトレンズを夜寝る前につけて、就寝中に角膜の形を変化させ、裸眼視力を矯正する治療法です。これにより翌朝レンズをはずした後も、角膜の形状が矯正された状態を一定時間維持できるため、裸眼で過ごせるようになります。進行抑制効果が3~6割程度と報告されています。適応検査と購入レンズは自費治療になります。
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